青春18切符がすっかり様変わりして、
名称だけ留めて今までのものとは全く異なった切符になってしまった。
公共交通機関であるJRの企画担当者は利用者の現状を全く知らず、
自動化優先、改札駅員の利便さしか考えてないのだろう。
これまでは1枚の切符を買うと5回利用することができた。
つまり、ひとりなら制限期間の間、好きな日に5日利用することができて、
友達と一緒に1枚の切符を使うことができた。
それは、とても便利で格安な切符だった。
ところが、これからのものは何と購入者ひとりしか使えず、
しかも、連続する5日間に限ると言うから驚いてしまった。
5日続けて遠出する人がいるだろうか?
これが、青春18切符だとはもう言えないと私は思う。
地方に住む私たちは滅多に電車を利用しない。
老人に至っては最寄りの駅すら行ったことがないという人が多い。
どこまても玄関から車に乗って行くのである。
確かに車の方が購入費や経費は別として、
ガソリン代だけを考えるとしたら家族で乗ってもたかが知れている。
電車だとはこうもいかず、切符代は高くつく。
現に私なども四国や山陰の山を登るのに高速を走って行った。
現地で登山口からのアプローチを考えると、
人数で経費を割ればかなり安いくつくのだ。
でも、とある日、谷川岳を降りて来た年配の女性たちと話をした時、
彼らは東京から青春18切符とやらでやってきたという。
この切符が学生用だと思っていた私は、その時から買うようになった。
その頃は5枚の切符が切り離すことができ人に上げることもできて、
違う駅から乗っても待ち合わせることができた。
でも、そのうち同駅出発のみとなり、少し不便になった。
それでも、電車の旅をわざわざするために目的もないのに、
売り出しが始まると買っていた。
行先は買ってから考えていた。
それが、面白かった。
今年の春は友人を誘って熱海方面と横須賀の山に出かけた。
切符が12000円ほどだから、それを5回で割るととても安い。
普通に往復したのと比べると半分ほどになる。
これは一日限りだけれど遠くに行けば行くほど割安だ。
私はあまり遠くへは行かなかったけれど、
鉄道オタクの達人たちはかなり遠いところまで旅していたようだ。
私の場合、この切符を使うのは単なる遊びに過ぎず、
これがなかったら別に日帰りの旅のために電車に乗る必要はない。
とはいえ、電車が身近になったおかげで、
新幹線や特急電車での長い旅も増えた。
鉄道オタク以外の利用者は大方そんなものだろう。
なかったら日帰り旅には出かけない、それだけのことだ。
だから、今回の改悪でJRの季節限りの特別切符部門の収入は、
ぐんと減るに決まっている。
そうすると、また再び以前のような本物のサービスである、
青春18切符が復活するかもしれない。
そう願いたい私だ。
(写真 最長は静岡まで 最短は金額に満たなかった行田と宇都宮)