ひょんなことから箱根へ旅することになった。
箱根には車で行ったことがあったが、
その時は点でつなぐような物見遊山程度だった。
今回は電車旅だからじっくりとウォーキングができる。
電車での移動は車と違って駐車した場所に戻る必要がない。
そのため旅先とのかかわりが密になる。
今日は朝日の上がる前、始発に乗って小田原を目指した。
乗り換えた電車はすでに席は占められていて、
私の前に座っていた中年女性は耳にイヤフォンをして目をつぶっていた。
その人は私より遠いところから乗り込んでいたのだ。
朝の電車は通勤客でいっぱいで、東京駅まで立ちっぱなしだった。
東京駅で若い男性が降り、やっと席が空いたので女性の横に座った。
私が腰かけたらその人はイヤフォンを外し、すぐに新橋で下車した。
すでに時間は1時間半は過ぎている。
女性の後ろ姿を見ながら、
彼女がこんなに長く電車に乗って毎日通勤しているのかと思うと、
とても感心してしまった。
ただの遊びのために乗っている私と比ぶべくもない。
その人以外にも長く乗っている人も多くいた。
田舎に仕事はなく人々は都会に毎朝向かい、
夜遅くまた家路を目指す、それがこの国の現実なのである。
小田原に着くまでの電車の中でそんなことを思った。
(写真 好物の駅弁を朝ごはんに)