先日の伊豆への山旅で、
帰りに買ったいつもの鯵寿司が今回はあまり美味しく感じられなかった。
その理由は一緒に旅した友達が電車の中で一口食べるなり、
「まずい!」と声を上げたせいもあるようだ。
東海道線は私の生活圏から遠く離れていて、
そこで得られる名物駅弁は私にとってはご馳走だった。
だから、機会があれば必ず買うのに、
友達のこの発言に大いに困惑してしまった。
彼女は釣り名人の夫を持ち、新鮮な魚で押し寿司も作るらしく、
それと比べて美味しくないと言うのだった。
もともとこの鯵の押し寿司は腐りやすい魚を酢で絞めて、
腐らずに持ち運べるように作られたものだ。
だから、魚が固く酢が強いのは当たり前なのに、
初めて口にする友人には不味く感じられたのだろう。
だのに、この私もそう言われると美味しさが激減し、
何とも不思議でならなかった。
表裏のない率直な友達は、
私が美味しいから買おうと言って勧めたことに対し、
何の忖度もなく自分の意見を言ったまでだ。
おかげでせっかくの飲み鉄のビールの味も半減したけれど、
いつかまたきっと私はこの名物押し寿司を買うに違いない。
それにしても、言葉って不思議な力を持っているものだ。