伊豆の山を歩いて来た。
山といっても里山的な低山で、
名のあるピークは300メートル程度だ。
その途中に史跡があるのに興味を持った。
この付近を歩くのは初めてだし、
事前に何度も情報を調べなければならなかった。
里山は道があちこちあるので、
高い山よりルーファイ(道探し)が難しい場合が多い。
ネット上の記録も釈然とせず、
そこの観光課に問い合わせてみたが、
私が目指すコースの情報は得られなかった。
それもそのはず現地に着くと、
はっきりした案内図も見当たらず、
無人の観光案内所でもらったハイキングコースマップだけがそれらしきものだった。
とりあえず現場合わせで山を目指すことにしたが、
これがまた住宅地なのにジェットコースターの通るような急坂だった。
でも、振り向けば真っ青な海が覗いているではないか。
それだけでも遠く旅したなあという気分になるが、
山を始めたばかりの友には無事計画を実現し満足してもらいたい。
低山とはいえど知らない場所の登山口探しは難しい。
道迷いが心配だったが、自分を信じて先を急ぐ。
曲がりくねった急坂の別荘地で、
郵便配達の男性に目指す場所を尋ねたけれど首を捻るばかり。
道を熟知しているはずの人も分からないとは。
上に行けば必ず古道の入口にぶつかるはずと、
事前調べで分かっていても少し不安になった。
それでも下調べを信じて進むと、古道入口の標識に着いた。
その辺りは別荘が多く、さいわい畑仕事をしている男性がいた。
その人に隣町まで古道を縦走すると言うと、
最近は荒れているかもと親切に教えてくれた。
一安心して時折海原がチラチラと覗く道をお喋りしながら進んだ。
駅から次の駅まで山伝いに歩くのは昔の人たちの苦労を偲ぶ事ができ、
感慨もひとしおだ。
以前は車道などなかった。
追い剥ぎや盗人が潜んでいたに違いない。
今はこうして私たちのように古道を探して、
遠くから日帰りで訪ねてきている。
下山した海ではこの寒いのにサーフィンしている人もいた。
そういう意味では良い時代に違いない。