今年は年末に旅に出たためお正月の準備を全くしなかった。
特に正月料理を口にしていなかった。
毎年欠かさなかった紅白の蒲鉾すら食べていない。
でも、旅から帰ると故郷の兄から荷物が届いていた。
それは、夏に下調べをしていた漁港からの宅急便で、
中身はブリやナマコだった。
ナマコは関東地方にはあまり店頭に出ず、
正月料理として利用されていないようだ。
私の故郷では小鉢に入った輪切りのナマコが必ず食卓を飾る。
ナマコそのものにさして複雑な味はないけれど、
その触感がコリコリとして独特だ。
あれは食べた人にしか分からない食感だろう。
7匹?送られてきたので、
2匹はブリの切り身と共に近所の同郷の友達に差し上げた。
ナマコにつける酢は柚子やカボスではなくダイダイと決まっていて、
兄はそれも荷物に入れていから友達にも半分上げることができた。
彼女も久しぶりに正月らしいものが揃ったと喜んでくれた。
50センチもある大きなブリはお刺身用だったけれど、
時間が経っていたのでお雑煮のだしにすることにした。
別袋にアラも入っていたのでブリ大根にするとして、
残った身は小分けして冷凍した。
ふんだんに入ったブリの雑煮の美味しいことと言ったらこの上なかった。
人の味覚は子供の頃で決まるというが、正にその通り。
家にあった小松菜と人参、シイタケと薄切りの大根など、
とても地味でハレの日の料理とは言えなかったけれど、
ブリとナマコのある食卓がとても有難かった。