スーパーの魚売り場にホウボウが売っていた。
カサゴの仲間でカナガシラに似ているから、
そう呼ぶ地方もある。
白身がむっちりとして煮魚にも合うし、
味噌汁に入れて出しにしても美味しく、
私の大好きな魚の一つだ。
滅多に売り場に姿を見せなくて、
たまにあっても値段が高くて買えない。
ところが、その日は大振りのが一尾たったの200円也。
旅から帰国したばかりだったので、和食に飢えていたせいか、
嬉しくなって三尾も買った。
大振りの魚は半分に割って醤油で甘辛く煮た。
出来上がったホウボウをお皿に乗せてよく見ると、
何だか滑稽な顔をしている。
その大きな目をまじまじと見てしまった。
深い深い海の底から食卓へと運ばれたホウボウ。
長い旅をしてきたのだと思う。
不思議な縁だなあと感慨に更けても、涎が出てくる。
うろこを削り取りながら白い身を口に運ぶと、
期待に違わず、ほっぺが落ちた。