遠方から家にお客が来る場合、
最近はホテルに泊まってもらったりする人もいる。
親族でもそうする場合もあり、
昔とはずいぶん変わってしまった。
これは住宅事情もさることながら、
おそらく私たちの住まいのスタイルや他者との関係が、
以前とは変わってしまったことが要因だと思う。
広い家には座敷があって、座布団が何枚もあった。
今では家族中心の普段使いのリビング重視で、
客間などない家がほとんどだ。
昭和の時代には自宅に親類や友人、
それに近所の人たちが集うのは当たり前で、
家には客間というものがあった。
何しろ結婚式まで家でしたというのだから。
わが家には友人が宿泊を前提に年に何度かやって来る。
そんな時は客間などないから個室を大掃除して、
客人の寝室に替えている。
泊るのは山の仲間ばかりなので、
敷き布団を床に並べれば、
最低8人は横になることができる。
コロナ前の山小屋スタイルである。
仲間は各々がシュラフ持参なので、
私の仕事は大掃除が主だ。
人が来るとなると隅々まで掃除しなければならない。
これは、掃除の苦手な住民の住むわが家にとっては、
部屋がきれいになる好機でもある。
先日は友人が珍しく一人だけだったので、
初めて私の寝室にお布団を敷いてあげて、
寝てもらった。
私は神経質で物音や気配で目が覚めるため、
部屋の隅に登山用のソロテントを張り、
中にライトや水を置いて個室を作ってあげた。
ちょっとしたグランピング?もどきである。
そうすると、友人も落ち着き、
私も静かに休むことができる。
案の定、翌日、彼女はぐっすりと眠ることができたと、
とても満足げにリビングに降りてきた。
この一人用の軽量テントは今は山ではほとんど使わなくなって、
たまに室内で張って小さな子を遊ばせたり、
シームテームの劣化や小穴探しの、
メンテナンスをしているだけになった。
だから、テントにとっても来客があることは良いことだ。
少人数の仲間の場合はまた使ってみようと思う。