いつもの山仲間と黄色や赤に色づいた秋の山を歩いてきた。
私は何度も歩いている山だけれど、
彼女たちは都会に住んでいるため初めての場所だった。
彼らをわが家のあるA駅に迎えに行くと、
大きなリュックを担いだ二人がやってくる。
A駅は田舎の駅ゆえ降りる乗客はただ二人。
あの姿で地下鉄やJR、
それに私鉄を乗り継いで来たのだと思うと頭が下がる。
荷室に彼らのリュックを乗せ、いざ出発。
それから2時間以上かかって登山口目指す。
途中、道の駅があれば必ず寄って安いお野菜などを買ったりする。
考えてみれば、都会に暮らし車を使わない彼らにとって、
道の駅はある意味特別な非日常的存在と言える。
国土交通省の管下にあるそれは、
あくまでも自家用車を利用する人やバス旅行などを利用する、
車世界のための施設である。
歩いて道の駅に行く人などあり得ない。
そう思うと国の施策の諸々は、
その恩恵に浴する人とそうではない人に分けられる。
高速道路の割引にも税金が使われるのだろうけれど、
車を利用しない人にとって何のメリットもない。
コロナの時期の旅行支援なども、
旅に出ることができる人たちのためのものであって、
旅をしない人、旅のできない人にとっては何の役にも立たない。
道の駅で「安い、安い」とはしゃぐように言いながら、
特産の果物やキノコなどを手に取る彼女たちを見ていると、
寄って良かったといつも思う。
帰りは荷物が行きより増えてしまうけれど、
それら戦利品?は翌日の下山まで車内に置いて行き、
帰宅の際の楽しみとなっているようだ。
荷室に積まれたお野菜と共に私たちの山旅はこうして始まる。