電力を消費する文明批判を度々する私だけれど、
キラキラと光るイルミネーションの魅力には負けてしまう。
夜景のきれいな坂の町で子供時代を過ごしたせいなのか、
とにかく光の共演が好きなのだ。
最近は日課のように夜明け前の朝に町を歩くので、
家々のガレージが赤や黄色の電飾で光っていたり、
生け垣を電飾で張り巡らせたりしている民家も所々にあって、
それを見ると嬉しくて寒さも吹き飛んでしまう。
今朝は今までに気づかなかった三角に光る点滅を見て首をかしげた。
近づいて見るとよく目にする車の停止標識で、
なぜ今まで気づかなかったのか、
あらためて見ると真っ暗な中とても目立っていた。
あれには電線がついているのだろうか。
田んぼの中の道だからちよっと不思議だ。
きっともっと夜には色々光る標識があるのかもしれない。
そんなことを思いながら歩いていると、
東の空が明るくなり始めている。
何て美しいのだろうと立ち止まって振り返る。
本物の光もこうして人の心を強く打つけれど、
文明の力を借りた光も人の心を奪ってしまう。
電気とは私にとっては力より何より光を意味する。
人間はどうやら電気的な存在で、
電気なしでは最早生きていくことはできないことに気づく。
この黎明の光と共に朝を迎えた古の人に、
今の世界を見せたら気絶するほど驚くだろう。