料理屋に行く場合、期待するのはいつもと変わらない味だ。
この町へきて毎回みんなで最初に集まるのは、
期待できる同じメニューが出るレトロな料亭である。
そこは由緒あるお墓の連なる寺町を少し下ったところにあり、
建物の内部は外観と変わらず昭和そのものだ。
去年と同じ着物姿の仲居さんが部屋に案内してくれるのも嬉しい。
食事会はお昼なので、
夜と違って格段にお得な値段で懐石料理を食べることが出来る。
それにここには名物の料理があって、
いつも同じメニューのコースなので意外性はないけれど、
それが目当てで来る人も多い。
さて、そのコース、
最初に出てくるのはお刺身、つみれ入りのお吸い物、
正月料理のような前菜、
その後、名物の太ゴボウの炊き合わせ、黒豆の甘煮、
茶碗蒸しやご飯などで、
先ほどの仲居さんがいちいち座敷に運んでくれる。
料理が美味しいとお酒の注文も増え、
昼間からそれぞれ中瓶二本もオーダーしてしまった。
それなのに、お得なランチタイムとあって、
料理はたったの2100円でその値段に驚いた。
料理に違わずお酒も他店よりはるかに安かった。
夜の部は倍ほどするけれど、サザエのつぼ焼きなどが出される。
この店以外にもたくさんの料理屋があるが、
とても比べ物にならないほど高い。
店の雰囲気も大正時代のような情緒があるのに、
他の座敷には客がいない様子だった。
ランチなのに予約制だからなのか、不思議でならない。
夜にも行ってみたいものだ。
い場合と、