元旦に東海道の列車の中から、
太平洋から昇った初日に照らされて輝く富士を見た。
雲一つ、そして、風もない穏やかな新年だった。
何て幸先の良いスタートだろう。
今年こそ世界のあちこちで起きている戦争も終わって、
素晴らしい年になって欲しい。
初詣はその足で都会の郊外にある神社に行ってきた。
荷物をコインロッカーに預け、
駅前の立ち食いそば屋で腹ごしらえをして神社に向かう。
参道には大勢の人が溢れるように並んでいて、
田舎に住む者にとってまるで別世界の込み具合だ。
こんなに人がいるなんてと呆れるほどだった。
横に5人ほどびっしりと並び、その列はまっすぐな大河のように続き、
両側には大きなプロパンガスのある屋台がひしめいていた。
お好み焼き、ケバブ、焼きイカなど美味しい匂いが漂うが、
おそばでお腹いっぱいだったから誘惑には負けなかった。
考えてみればコロナが5類扱いとなって、
そのせいで以前よりも人が増えたのかもしれなかった。
誘導員が適度に配置され、「歩いてくださーい」と合図をする。
その声に促され一塊の集団が少しづつ前に進むのだった。
列は数十メートルもあって本殿が見えてくるまで一時間もかかった。
順番を待つ列も少しも乱れず、
小さな子供も親に連れられて楽しそうだ。
順に従って三人ずつ賽銭を投げ二拍2二礼し、
早く戦争が終わって子供たちが幸せに暮らせますようにと祈念した。
そして初穂料を払ってお札を頂く。
今年は「一陽来復」だ。
今は暗くても良いことは必ずやってくるという意味である。
他の願い事より良いような気がした。
そして、わが町のホームに着いた直後、
携帯から緊急地震速報が鳴り響いた。
世界は年が明けようが不条理が続く。