私は眠りが浅く、目が覚めると夏でも真っ暗な時が多い。
ましてや冬となると、明るくなってから起きることは滅多にない。
目が覚める時間は大体3時頃が多いけれど、
しばらく寝床で悶々と過ごした後、お布団から起き上がる。
リビングに降りると最初にコーヒーのためのお湯を沸かす。
寒い時期はお湯を沸かすのに色んな道具を使うことにしている。
これは火を使うアウトドアの機会が多かったからなのか、
単に懐古趣味なのか、
とにかく手間をかけてお湯を沸かしたい。
山に住んでいた頃は庭で薪を燃やしてお湯を沸かしたが、
町中では室内で色々工夫しなければならず、
山道具を使ってお湯を沸かす。
アルコールストーブをセットしお湯を沸かすと、
暗い部屋に青色の炎が美しく揺れ、
お気に入りのソロケトルから白い湯気が出てくる。
家用の大きなやかんでお湯を作るより何倍もの時間がかかるけれど、
待つという時間が私にとっては貴重なのである。
ある意味、非日常を体感できるのだ。
新しいソロ用七輪を友達に貰ったので、
キャンプ用の木炭をザルに入れてガスを使って火をつけ、
炭を七輪で起こすことにした。
炭が真っ赤になるまで息を吹きかけたりして苦労するけれど、
それがとても楽しく充実した気分になる。
七輪は早すぎる目覚めにはもってこいの道具だった。
七輪の語源には諸説あるらしい。
持ち運びのできる調理器具として江戸時代に用いられたらしいが、
それがたったの7厘で買うことができたという説もある。
不慣れなので炭に火をつけお湯が沸騰するまで1時間以上かかった。
でも、お湯が沸いてからも長いこと七輪は温かく、
ハーブを煎じるにはちょうど良く、残り火で程よい湯が保てる。
それに七輪に手をかざすとずっと温かい。
こうして私は暇つぶし?みたいにやっているけれど、
昔の人は早起きしなければ家族の食卓が成り立たないから、
どんなにか忙しかったことか。
昔の人は偉いなあとつくづく思う。