昨日は山奥のキャンプ場に着く頃、
五月晴れの青空はあっという間に黒い雲に覆われてしまい、
まるで嵐の前触れのような雰囲気になっていた。
天気予報は終日晴れということなのに、山沿いは荒れるらしい。
受付を済ませ、適当な場所を決め、車から荷物を下ろす。
キャンプは設営時に雨が降ってきたら大変なことになるので、
とにかく急がなければならない。
初めてのタープは強い風にあおられ、結構時間がかかった。
それでも、どうにかテントとタープを設営すると、
安心な我が家が出来たようでホッとした。
私は持ってきた衣類や寝具をテント内に運び、
5人分の寝床を作るのに苦労した。
なぜか頭が混乱し、何度もやり直しするのだった。
外では炭を起こし始めていたが、すぐに雨が落ちてきたので、
タープの下にバーベキュー台を移動する。
雨音がおかしいのでよく見たら何と霰が叩きつけている。
タープの隅に白い霰が溜まっている。
その内、地面は泥だらけのぬかるみになり、靴下が湿って来た。
台風さながらの風で今にもタープが倒れてしまいそうだ、
現にすぐに新品のポールが曲がってしまっている。
椅子に座っていても落ち着かず、まるでサバイバルだ。
それでも、炭火に火が付くと、時間はまだ4時頃なのに、
肉や野菜をどんどん焼いて、赤ワインを開け食事開始とする。
お米の入っている飯盒もどうやら炊けている。
こんな悪天候でのキャンプは滅多にないのではないか。
でも、どんなシチュエーションでも野外料理はワクワクするものだ。
牛肉、豚肉、鶏肉、ウインナー、ピーマン、玉ねぎ、椎茸等々。
最後に作ってもらった焼きそばも最高に美味しかった。
食事を済ませると全ての道具をテントの前室にまとめた。
食べ物類はきっちりと容器に入れ、動物に荒らされないように室内に取り込む。
これはテント泊の鉄則で、米国のロングトレイルでは、
熊も開けられない頑丈な缶を買わなければ実行できない。
雨と霰、そして凄まじい強風は夜中タープを激しく揺らし、
その度に恐ろしい音がしていた。
もしかしたら、タープはどこかに吹き飛ばされてしまったかもしれないと、
何度も目が覚めては心配した。
温度計を忘れたけれど外はマイナスになったらしい。
想定外の寒さに震えながら、受付で会った女性のことを思い出した。
初めてのソロデビューと言っていたっけ。
こんな過酷な条件で無事楽しく過ごせたのなら、
きっとソロキャンプにはまってしまうだろうなあ。
そんなことを思いながらうとうととしていると、
いつの間にか外は明るくなっていた。
やっと雨が上がったようだ。