今日は人生初めての日だったなんて

好奇心がある限り心を文字で表すことは大切です。日記を書きます。

一ノ倉沢までバスに乗らず歩くのは当たり前だけれど

昨日は思い立って谷川岳の一の倉沢を見に行ってきた。

紅葉見物もしていないので、それも兼ねてのドライブだ。

車窓の景色は水上方面へ入ると多少山々に色づきがあった。

どうやら今年はハッとするような錦秋には出会えない感じがする。

それでも時折真っ赤に色づいたモミジの並木には心がときめいた。

 

谷川岳の一ノ倉沢展望地に行くにはマイカーでは入れず、

観光客は歩いて行くか小さな電気バスに乗らなければならない。

私は歩きたいのでもちろんバスを待たず、

近くの白毛門登山口の駐車場からテクテクと歩いた。

 

ロープウェイ駅を過ぎると、

車道の右手斜面に昔ながらの山道の標識があったのでそこを歩く。

湯檜曽川を見下ろしながら灌木の間を縫うように行った。

昨夜雨が降ったのか木の根っこや枯葉が濡れていて気が抜けない。

 

山道が自然と車道に上って行ったので、再びアスファルトの道を歩いた。

マチガ沢を越え出発から小一時間ほどで一ノ倉沢出合に着く、

その間、4人のハイカーに会っただけで、

幸いにも電気バスは通り過ぎなかった。

 

f:id:anzufig:20211115061550j:plain

 

この山は世界一の遭難死者数をギネスに残していて、

その数はエベレストの犠牲者をはるかに越えて800人以上だ。

昭和の登山ブームの時代、

まだ登攀器具などが今のように便利ではなかったせいもあり、

この岩壁は多くのクライマーの命を奪った。

 

一つ一つのルンゼや壁稜に名前が付けられていて、

クライマーたちは競って我こそはと初登攀者を目指したのだった。

岩壁をバタバタと人が落ちてくる光景が見られたというから驚きだ。

 

f:id:anzufig:20211115060842j:plain

 

もちろん普通の登山者はこんな場所をよじ登らない。

登る時はロープウェイの道や西黒尾根や厳剛新道などの一般登山コースを取り、

この魔の岩壁は私のように眺めるだけだである。

 

f:id:anzufig:20211115060944j:plain

 

この日も軽装の観光客が10人ほど思い思いに写真を撮っていた。

彼らはバスを待っているようだ。

私は沢の石ころの道を少し歩いて、

恐ろし気に光を背にして立ちはだかる山を何枚も写した。

 

帰りはバスに追いつかれないうちに湯檜曽川まで下りて、

昔ながらの山道を辿ろう。

そう思い、走るように急いだけれど、身を隠す?前にバスが通り過ぎて行った。

乗客たちはバスに乗らずひとり歩く私を見て、

不思議に思ったに違いない。

 

(写真上 マチガ沢出合 中 一ノ倉沢出合)