一日暇ができたので友達に案内してもらって奥多摩の山を歩いてきた。
突然の前日の誘いなのに気持ちよく了解してくれたのが嬉しかった。
彼女はもともとクライマーだし、
人が歩かないマイナーなルートが好きだ。
だから、こうしたポピュラーな小さな山でも地図に載っていない尾根を辿って、
主尾根のピークに向かうという。
この辺りは東京都に位置してバスも通っているけれど、かなりの辺境の地だ。
空き地に車を止め、神社の裏手から急峻な杉林の道を登り、
2時間近くかけて道のはっきりとした主屋根に着いた。
どんよりとした厚い雲に覆われた空は、何とか下山までは持ちそうな気がするが、
今にも雨粒が落ちてきそうな気もする。
今日の山支度はリュックと靴以外は友人が持ってきてくれた。
見晴らしの良い東屋に着くとお赤飯と熱いラーメンを食べた。
そこには、お弁当を広げ小声で話している二人の女性がいただけで、
あたりはひっそりとしていた。
眼下に広がる町並みはあいにくの空でぼんやりとしている。
それでも、山の中の食事は何倍も美味しい。
ここまでくる間、山栗が道に転がっていて、
ずっと採りながら歩いていた。
杉だらけの山なのに道は茶色いイガで埋まっているところさえある。
そこからも栗の道は続き、中身を取り出していると、
だんだんと時間を食ってしまう。
栗拾いはやめて、先を急ぐと壊れかけた山小屋地点に着いた。
休んで地図を見ていると何組かのハイカーが行き来した。
そこから人気の山へは往復1時間半程度で行けそうだ。
その山は10数年前、別の登山口から友人に誘われて登ったことがある。
もう一度その懐かしい山頂を踏みたかったけれど、
持病の足指痛と左の腰から気になる痛みも出ているし、
暗くなっては大変だ。
秋はつるべ落としで気が付くと真っ暗になる。
時計はもう2時、山頂ピストンはやめたほうが良い。
下山はヘアピンを描くように沢を下り滝のある下山地に着く。
どんな滝だろうかと想像しながら、
またも栗のコロコロと落ちている沢道を下った。
滝見台の橋で写真を撮っていると、
今度は栗拾いだけに来ようと友達が言うので、私もうなづいた。
多分それならリュックいっぱいの栗が拾えるだろう。