まだ朝晩以外は汗をかくほどなので、
夏と冬の服の入れ替えが終わっていない。
以前は衣替えの日があって確か10月1日からだった。
そのため一気に済ませたものだけれど、近頃はそんなことはない。
二階の部屋には衣装ケースが所狭しと置かれたままだ。
そもそも夏が長くなったために、この時期人は様々な服を着ている。
電車に乗ると面白く、つい乗客の服装を眺めてしまうほどだ。
厚い上着を着こんだ人や早くもブーツを履いた人、
中にはノースリーブのままの人もいたりする。
そんなふうだから、我が家の衣替えも立冬を過ぎてしまう。
もう以前の季節は戻って来ないのではないか。
お米もかつての名産地より北の国の方が美味しくなったというし、
認めたくはないけれどパラダイムが変わってしまったのだと思う。
それにしても箪笥から出した服の何と多いこと。
山のテント泊では衣食住のすべてを運べるというのに。
シンプルに暮らすにはどうしたら良いものか。
40度も超すような熱帯の日々に着るものは限られるので、
着やすいもの、涼しいものばかり着てしまう。
洗濯すればすぐに乾くし、
外出の際のものとシャツ数枚、短パンがあれば事足りる。
だから、多くの服を衣装ケースに戻さなければならない。
この時、思い切ってそれらを捨てることができたらどんなに良いか。
でも、何のほころびも汚れもない形ある服を、
簡単にゴミ袋に入れることは難しい。
それら一つとってみても、
貧しい国の女の人がミシンに向かい続けて縫われたものだ。
そこまで想像するともう捨てられなくなる。
悩んだ挙句、再び衣装ケースにとりあえず仕舞う。
このとりあえずが厄介で永遠に繰り返しそうだ。
どうしたら良いのだろう。