スーパーで2割引きのワインを買ってきた。
ワインは好きだけれど、日本酒のようには美味しさの差が分からない。
日本酒なら大体が値段で判断できる。
私が手を出すワインはせいぜい高くて1000円台。
中でもコスパの良いチリ産を買ってしまう。
ワゴンに入っていたそれはスペイン産だった。
スペイン産も割と値段の割には得をすることがある。
その赤ワインは全体におしゃれな金属製の網がしてあったので、
現地では上級のものかもしれない。
今度の山旅で仲間と飲もう。
だから、ペットボトルに入れ替えるために栓を開けにかかった。
ところが、コルクが何としても抜けない。
以前にも何度かこんなことがあった。
30分近く意地になって奮闘したが駄目だった。
そこで、引いても駄目なら押してみることにした。
以前も何度か経験がある。
コルクを細い刃でほじくっていき、
少し減ったところで棒を置き、金づちで叩いてワインの中に落とすのだ。
2015年のワインだから7年間も蓋がされたままで、
コルクが瓶に張り付いてしまったのだろう。
それにしてもコルクを瓶の栓にするとは先人の知恵は凄い。
コルクはめでたくワインの海へ落ちた。
コナラ族の木の樹皮であるコルクは紀元前から使われていたという。
ワインの栓のみならず床やその他の建築資材でもある。
地中海沿岸のコルクの木は年々減っているようだ。
以前スペインのコルク並木を通った時、そう説明された記憶がある。
最近はコルクに似せたプラスティック製の合成コルクが増えている。
天然木と比べると性能は良いけれど、持続可能なものではない。
何だか現代社会の消費文化を象徴しているようだ。
今回の奮闘で気に入っていた栓抜きを壊してしまったけれど、
天然素材のコルクを恨む気はない。
早速グラスに注いで味見をした。
良いワイン特有の味がしてなかなかのものだった。
諦めずに苦労した甲斐があった。
2割引きになっていた理由は、
この奮闘を強いるコルクの劣化の問題のためだったのかもしれない。