11時頃、掃き出し窓のガラスをトントンと叩く人がいた。
いつもの音楽仲間で仲良しの友達だった。
驚いて窓を開けると、ラインで連絡したというではないか。
いつも忙しい彼女は今現在、とある事情で時間に余裕ができているのだ。
たまたま私は、この朝に限ってスマフォを確認していなかった。
どちらかというと、スマフォ中毒なのに不思議なものだ。
玄関ではなく庭から顔を出す訪問者は最近は滅多にいない。
いや、この家に越してきてから全くいなかった。
でも、彼女ならそんなふうに気安い行動をしても気にならない。
「まほろば公園に行こうよ」と彼女が言った。
まほろば公園は我が家から10キロもないところにあるが、
以前は毎春訪れていたのにここ2年は行っていなかった。
家事をやめ、すぐに服を着替えて水だけを用意する。
昼食はまほろば公園にある店で食べようと、彼女は言った。
でも、私は家の近くの水辺公園のテイクアウト店を提案した。
その店はコロナのせいで長く休んでいて、
つい先日に立ち寄ったらオープンしていたのだった。
その時、久し振りに食べてとても美味しかったのである。
友達も納得したのですぐに電話で注文し、
出来上がるまで水辺公園を散歩した。
店はオープン前だったので正午にランチを受け取り、
気持ちの良い緑の木陰でランチタイムを過ごした。
お腹がパンパンに膨らんでから、
友達の車でまほろば公園に向かった。
「少しは歩かなきゃね」と、私たちは長い石段を上った。
それが、満腹のせいか足がとても重く感じられ、
普通なら上の神社まで20分ぐらいなのに、
その倍もかかってしまった。
神社からは関東平野が一望できて、
ランチタイムを過ごした水辺公園もうっすらと見えていた。
二つも公園巡りなんて贅沢すぎる。
突然、迎えに来てくれて有り難うと、心の中で呟く私。
友達は霞の中にあるらしい富士山をしきりに見つけようとしていた。
(写真下 まほろば公園の丘に広がっていた花)