昨日、水辺公園を散歩したら、
このところの暖かさで木々の芽が一斉に開き、
新緑が青い空に透き通って春も本番に近づいていた。
新緑の木々の足元には、
黄色い菜の花や赤紫の大根花がびっしりと地面を染めぬいて、
鮮やかな自然の色のハーモニーが広がっている。
そんな中で何人かの女の人が地面にしゃがんで野草摘みをしていた。
私たちは菜の花の蕾を掌いっぱいほど採っていて、
今夜のお浸しにするつもりだった。
でも、彼女たちは地面の何かを小さな釜で採っていた。
この時期は出たてのヨモギを草餅のために採る人が目立つけれど、
どうやらそうではないようだ。
傍らに置かれた袋にたくさんの葉っぱが詰め込んであり、
友達が挨拶をして彼女たちに声をかけた。
どうやら女の人たちは外国の人のようで、言葉がよく通じなかった。
でも、地面のロゼット状に広がったタンポポを集めていることが分かった。
その量からするとまるで大家族分のように大量に思えたけれど、
話している間もタンポポ採りの手は器用に動いていた。
彼女たちの動きを観察をすると、
土の付いている茎をナイフで落として袋に納めている。
葉はびっしりと出ているので、家に帰って洗うのが大変そうだ。
ボウルいっぱいのタンポポサラダが目に浮かんだ。
日本でも昔はタンポポは食用になったり薬になったりしていたようだ。
戦争中は茎を炒ってコーヒーの代用になったこともあるらしい。
濃い緑で栄養豊富そうだからタンポポは利用価値のある野草だと思う。
何処から日本にやってきたのか、タンポポはどう料理するのか、
身振り手振りで意思疎通を試みた。
お互い少しは通じて、
どうやらサラダにするらしいということが分かった。
春の野草は自分で摘んでこそのものだから、
一部を除いて八百屋の店先には置いていない。
パック入りの高いフキノトウを買うのなら、
近くの公園でこの人たちのようにタンポポを採った方が身体に良いようだ。
この日は菜の花を摘んだけれど、
いつかタンポポにも挑戦してみよう。
「話しかけてごめんね、有り難う」と言って別れたら、
彼女たちはにこやかに笑って手を振ってくれた。
収穫された山のようなタンポポの写真を撮らせてもらいたかったけれど、
何となく失礼なようで躊躇われた。
(写真 摘んできた菜の花の蕾、酢味噌にしたが、野性味なのか苦かった)