週末に友人たちが来て一緒に尾瀬辺りに行こうと思うので、
今日は足慣らしのために自宅から水辺公園まで歩くことにした。
いつもそうしようと思いつつも、なぜだか月に一度も実行できていない。
公園のメインゲートまで車で移動してそこを起点に歩けば、
湖を一周するのに1時間半ほどで済む。
自宅から歩くとなると余計に1時間はかかってしまう。
でも、万歩計はおよそ13000歩ぐらいとなり、
帰宅後にスマフォで確かめる時の充実感は、
車で行くそれと比べると違ってくる。
要するにたくさん歩くと嬉しいということだ。
家からあぜ道のような場所を通って最短距離を歩くと、
いつの間にか水田だったところがメガソーラーになっていて驚かされる。
ここを耕していた老人はどうしたのだろう。
でも、国道の際の三角形の土地に小さな畑があって、
その場所は狭いためか以前と変わってはいない。
土地の隅には作業小屋があり、入り口付近に自転車が置かれてあった。
ちょうど畑の持ち主がいたので声をかけた。
去年、枝豆をたくさん頂いた人である。
その時のお礼を言うと思い出してくれ、少しだけ立ち話をした。
ここも先日の霰で野菜の苗が大分やられたらしい。
我が家の菜園も大打撃だったから農業の大変さについて話した。
スーパーで売っている玉ねぎの異常な値上がり、
昨今のインフレなどについても話した。
別れ際に彼は「ちょっと待って」と言い、玉ねぎを3本抜いてきて私にくれた。
「今から散歩に行くので畑の際に置いて行きます」と、
私は何度も頭を下げながら、
その玉ねぎを道路際の窪みに置かしてもらった。
2時間後、玉ねぎを取って帰ろうと彼の畑の敷地に入った。
すると、真新しいレジ袋に玉ねぎがきちんと入れられて置いてあった。
私は公園で桑の実をたくさん採り、左手が塞がれていたので、
そのレジ袋がとても有難かった。
何かお礼をしたいけれど、
あの人は去年も今回もお礼は困ると強く言っていたっけ。
見知らぬ人との1年振りの再会、
それは、とても心が温まる出来事だった。
世の中捨てたものではないではないか、
私はそう呟きながら家路を急いだ。