趣味の仲間の友人夫婦がお礼にお昼をご馳走したいと言ってきた。
お礼をされるほどのことをした覚えはないけれど、
この仲間からはこのところ何回も連絡があって、
ちょっとした解決方法を教えてあげたりしていた。
人には得手不得手というものがあり、
友達なら別に不得手なことを手伝っても苦にはならない。
ただ時間を割いて上げるだけのことだ。
「お礼なんかいらない」と言っても相手は聞かず、
お昼になってチャイムが鳴った。
助手席で奥さんがニコニコして手を振った。
付き合いだからまあいいかと、車に乗る私。
「隣町まで走ってラーメン食べに行こう」と言うので、
私はラーメン屋のそれが苦手なので即断った。
しょっぱいスープが無理なのである。
「それでは、お蕎麦にするか」と言うので、
お蕎麦の味が分からない私はそれも断った。
奥さんは「あなたが決めるんじゃないの」と、苦笑いをしている。
家の前ですったもんだした挙句、結局、私の希望で、
近くの町の大型店舗のフードコートに行くことになった。
リンガーハットのチャンポンなら野菜たっぷりで体に良い。
それに安くて彼らに負担が少なくて済む。
まだ少し桜の残る公園のそばを通っていたら、
彼が「素晴らしいしゃれた建物があるから見て行こう」と言った。
少し遠回りしてその建物の近くに行く。
窓から見える洋館は庭には2つの東屋があり、
三角屋根の家もセンスが光っていて、
ガレージは素敵なタイル貼りで、屋根には煙突もあった。
どうやらお金持ちが住んでいるようだ。
「ほら、いいだろう。素晴らしい家だろう。」と、
何度も口ずさむ彼。
ガサツなおっさんの感じがする彼が、
こんなメルヘンチックな家を好きだなんて意外でたまらず、
人は見かけによらないのだなあと思った。