私はお肉よりも海で育つお魚の方が好きである。
かといって菜食を目指しているとかではない。
お魚の個性的な味が好きなのである。
それに家畜と違い、大海の荒波を自然に任せて育つのが良い。
お魚は食べたこともないものもまだあるほど多彩だ。
お魚の料理にはそれぞれの持つ個性が際立つ。
特に白身の魚の場合、残った骨も利用できる。
私は時間があるときなど、骨を捨てないでおく。
今朝はタイの塩焼きの骨を煮詰め出しにしてみた。
魚臭さを抑えるためにショウガを刻み入れて、
熱湯で骨を茹で、その白濁した汁を裏ごしする。
お塩と少量のナンプラー、薄口しょうゆで味を調え、
お豆腐などを入れて仕上げる。
口に含んだ骨汁の何と美味しいこと。
見た目はあまり良くないけれど、味は料亭のそれと変わらない。
料亭だったら鯛を丸ごと使った証に、
ヒレは必ず形をとどめて椀に入れるのだけれど、
家庭料理だから適当に煮詰めてしまい崩れてしまった。
赤い椀に白い豆腐が浮き、鯛のエキスが深い味になっている。
捨ててしまえば何てことはないけれど、
資源の乏しかった昔は魚の骨とて料理に生かしたのだ。
先人の知恵に頭が下がる。