夕方、窓の外が真っ赤になっていた。
家々の窓も壁も夕映えに染まり金色に光っている。
見上げると西の空が一面に赤く光っていて、
その色はめったに見られないほど美しかった。
風邪の後遺症が長引いてまだ外出もしておらず、
各地から聞こえる紅葉の話題などが恨めしかった私。
ところが、この稀有な感じの夕焼け、
そんな腐る私に天からプレゼントがきたようだ。
早速カメラを空に向けてみた。
残念ながら私の安いカメラではあの色を再現することは難しい。
緋色、赤色、紅色、金色…と言葉で表現するのもできない。
この夕焼けも高山のモルゲンロートのようにほんのひと時しか見られない。
写真に撮ることよりも夕焼けと対峙する今の時間が大切なんだ。
無限宇宙とかなり有限な私という図式。
そう思い、写真で忠実に再現するのはあきらめたけれど、
とにかくシャッターは5度ほど押し続けた。
でも、全然うまく撮れなかった。
当然だけれど。
早く元に戻ってこの夕焼けのような野山を歩きたいものだ。
ネットの動画ばかり見て過ごす自分はもう嫌だ。
(写真 実際はこんなものではない息を呑むような色だった)