来る日も来る日も雨が続いている。
こんなに雨が続くのは初めてのことかもしれない。
おかげで家中にのべつ湿気が充満し、
衣類も寝具も身体にベトリとまつわりつく感じで気持ちが悪い。
いつになったらカラッと晴れてくれるのだろうか。
まさかずっと降り続くのだろうか。
そこで思い出したのがガルシア・マルケスの小説、『百年の孤独』だ。
降り続く雨は何と4年も続いたのである。
南米文学というとピンとこないせいか、私はこの作者しか知らない。
なのに、小説としての面白さは最高だった。
ノーベル文学賞を取ったのもうなづける。
小説の流れは荒筋っぽくて今ひとつ踏み込むべきだと思うが、
そうなると百年を描ききるには十倍もの量を要する大長編になるだろう。
マコンドという町を作り上げた、
呪われていたのか祝福されていたのか決め難い、
豚の子の尻尾を持ち続けるブエンデイーア一族の百年にわたる物語。
古典的な手法をとりながら、超現実的に書かれている。
例えば家々の床の高きから低きへと流れ溢れる血や、
四年も降り続く雨など、到底現実では信じがたいことなのに、
なぜか心に迫ってくる。
屋根をうち続ける雨音でこの小説を強く思い出したのは、
前代未聞のウイルスに悩まされている超現実的な現実があるからに他ならない。
私たちはこの小説にあるような不安な世界を、
うっすらといつも頭の隅に置いて生きて来たと思うが、
実際に自分たちに降りかかるとは信じていなかった。
人生はマコンドの百年のように不可解で掴みようがないのである。
再読しようかと思ったが、友人に譲ってしまって本棚にはなかった。