新幹線名古屋駅から地下鉄に乗り換え、
トヨタ産業技術記念館というところに行ってきた。
そこは、味わい深いレンガ作りの倉庫風の建物で、
大正時代の工場の跡地だったらしい。
産業遺産としての保存も兼ねているようだ。
建物内部は近未来風でロボットのアンサンブルがあり、
決まった時間に演奏されるらしく、遊び心満載になっている。
学校での社会科見学の場所にもってこいの場所のようである。
織機にも車作りにも興味のない私でも、
科学技術の推移を表す展示物にはいろんな思いが横切った。
文明とは?人間とは?そんなことが頭にちらつく。
だから、恐らくまともに見物したら半日はかかるかもしれない。
これがたったの500円の入場料で見られるとは驚きだ。
最初の織機会場には白い綿花のなる小さな植木鉢があって、
その実から種を抜く道具や、
それをほぐして糸にするまでの興味深い実演があった。
小さな木製の糸巻き機やコンピュータで動く大規模な織機まで、
広い会場には目を見張るような展示が次々とあった。
春休みのせいか子供連れの客が多く、
織物機械の展示も小さな子が飽きないように工夫されている。
それにしても綿花の栽培から糸作りまで、
今は溢れるような服を捨てる時代なのに、
当時の人たちは根気のいる作業ばかりでとても苦労したと思う。
また自動車館は布つくりの織機から創業者が時代を察して、
車作りを始めた歴史が詳しく網羅されている。
しかも、最近の車製造の様子がそっくり展開されている。
重たい天井を乗せたり、ネジをつけたりしているのはロボットで、
人はひとりもいない。
ロボットの動く作業現場は明るく可視できるけれど、
現実の工場は真っ暗な中で一昼夜動き続けているのかもしれない。
何しろロボットなのだから0.1ミリの誤差もなく、
明るさなども必要ないのだ。
人間と動物の違いは、
人間は道具を使い、こうして道具を作る存在なのだ。
ホモサピエンス、正にここから始まる。
そんなことを強く実感する見学だった。