午前中は食器棚の整理をした。
滅多に使わない食器類も並べてあるので、
一つ一つ手にとっては配置を変えたりした。
それが、結構時間を食ったため、
お昼の用意が面倒臭くなり外へ食べに行くことにした。
向かったのは車で10分ほどの近くのおソバ屋さんだ。
10年ほど前にポストに出前のメニューが入っていたので記憶にあった。
そのせいか車を走らせながらこの店の前を通っては、
客はいるかなあなどと何となく気にしていたのだった。
国道沿いにある店はソバ屋の看板がなければ何の変哲もない民家で、
想像した通り、家も古いが店の中も昭和のままだった。
デコラのテーブルに使い込んだパイプ椅子、
色の禿げた使い込まれた一味唐辛子の缶。
壁に張られた墨文字のメニューが懐かしい。
ソバ屋とはいってもラーメンもとんかつも定食もある。
だから、お品書きがあちこちに貼られている。
お酒を飲む人もいるのか壁には代行業者のカレンダーが貼ってあった。
気のいいおばあさんが客の応対をしていて、
厨房では旦那さんが調理に励んでいる。
かなり年を召したご夫婦だったが、旦那さんの方はバイクで出前に出ているようだ。
客はいなかったけれど、昔は地元のソバ屋として繁盛していただろう。
頼んだ天ぷらそばのどんぶりには屋号が書かれていた。
懐かしい味のするおそばを食べ終わると、
おばあさんに会計をしてもらった。
彼女は昔ながらの台帳?のようなものを手にして、
鉛筆で線を引いていた。
昔はこの一冊がすぐにいっぱいになったと笑った。
注文の料理のメモのようである。
ロボットの応対する店とは大違いで、何だか心がほんわかとした。
そして、外食は地元の店と決め、
旅先でもこんな昔ふうな店を探し回った日を思い出した。
さて、まだ似たような店は近くに幾つかある。
今度行ってみよう。
(写真 分厚いチャーシュー麺のチャーシュー)