音楽教室の発表会に出かけてきた。
出演者は小さな子から中学生ぐらいまでで、
この教室に最近世間に増えてきた大人の生徒はいない。
習いたての小さな子には先生が付き添って、
隣の椅子に座ってきれいな音で伴奏をしてくれる。
そのため単純な曲もちゃんと楽しむことが出来る。
先生はいつも笑顔で温かく子供を包み込んでいる。
どの子も新しい演奏会用のドレスを身に着け、
出番になったら前に出て聴衆に向かって挨拶をする。
中には緊張のせいか戸惑っているような子もいたが、
拍手をもらって鍵盤に向かう。
その際、半分ほどの生徒は楽譜を見ずに暗譜で演奏する。
ピアノを弾き始めると固くなっていた全身から力が抜け、
ほっとした表情を見せて、
出てきた時と同じように舞台の前に立ってお辞儀をする。
その時の充実の笑顔は見ていても気持ちが良いものだ。
ピアノを弾くためには左右の指を違う動きをしなければならない。
その上、記号が馴染みのあるト音記号と、
馴染みのない低音のへ音記号の二つを読み分ける。
しかも足元にはペダルがある。
そして、複雑な音符さえ暗譜するのだ。
これがピアノが弾けない私のような者には、
魔法使いのように思えてならない。
ひとりひとりの演奏を聴きながら、
自分も子供の頃に親にピアノを習わせてもらっていれば、
どんなに良かったかとつくづく思う。
楽器の習い事は親の意思で決まるので、
私の幼少時代にはどう考えても無理だった。
今からでもやってみようか。