春に苗屋さんで買ったブロッコリーが実を大きくしている。
実ではなく株というのか、とにかくその生育には目を見張るものがある。
5本の苗のうち、植えた直後に根切り虫で一つやられたから、
4本が株を大きくし、既に茎の真上に実る親玉は全て収穫済みだ。
その親玉を取った後、そのまま畑に置いたままにしていると、
脇から花芽となって子供の株があちこち出てきて、
これらもあっという間に親玉ほどに大きくなっている。
植物とは自分のコピーを作り続けるのか。
特にこのブロッコリーはその性質が強くとても逞しい。
摘まれても摘まれてもしつこいほど新しい花芽をつけてくる。
植物には人間と同様に、
子孫を増やし続けようという強い意思があるのかと思うほどである。
ともあれ、しばらくは食卓の足しになるので畑に残しておこう。
花芽とは全く関係ないのに、
ふいにかの国の指導者たちの人民?に対する思いを想像した。
花芽を摘まれるように兵士は前線に次送られ途切れることがない。
どれだけの命が消えていっても、
指導者たちには兵士はただの意思のないモノに過ぎない。
幾万人もの兵士が亡くなり、
有史以来、連綿と繋がれてきた彼らの子孫は断ち切られた。
泥まみれの塹壕で血を流し、断末魔を上げる兵士達、
彼らの無念な思いが心に過る。