キャンプでスウェーデントーチがじっくり燃えているのを見た。
スウェーデントーチとは大きな丸太に切り込みを入れたもので、
内部に火をつけると煙突効果で長い時間燃え続ける特別な薪だ。
焚火のように忙しく薪を足すこともなく上にじかに鉄板も置けるらしい。
丸太が手に入り、チェンソーを使えれば簡単にできるけれど、
今の時代、そうした環境は珍しく、スウェーデントーチはぜいたく品だと思う。
販売されているような小型のものとは違い、
大きな丸太は運ぶのが大変だし、キャンプ場で見かけることはあまりない。
前にアウトドアショップで大きなものが展示されたのを見たことがあるが、
輸送代がかかるのかかなり高かった。
丸太は店の野生的雰囲気を高めるためのディスプレイのようだった。
この日の一抱え以上もある大きなトーチは、
何でも自分で作ってのける器用なアラフィフ君が作ったもので、
私が動かすにはとても重すぎて、着火式は彼が行った。
切り込みの中に何か燃えやすいのが詰め込まれていたのか、
彼がマッチを入れるとボッと火が大きくついた。
トーチの赤く大きく揺らめく炎を眺めながら、
いつもは普段手にすることのない高級ワインを飲んだ。
焚火台では炭で焼かれた肉やエビ、
ニジマスなどが桜の燻煙で良い味になっていた。
野外の食事が終わっても、
スウェーデントーチの赤い炎はしじまの中で強く揺れ動いている。
その光景は何とも言われぬ雰囲気を醸していた。
これはかなり効果ありのキャンプファイアだ。