タケノコを茹でるために縦割りに包丁を入れた。
すると、何ともいえない精緻な模様が現れ出たではないか。
脊椎から出たような無数のあばら骨はまるで恐竜そっくりである。
タケノコは節を作って伸びていくからこんな模様になったのだろう。
それにしても面白い。
キャベツも玉ねぎも半分に切るとその切り口は完璧なバランスを持っていて、
その絵画性に最近はとても感心している。
おそらくきっと他のお野菜や果物だって美しいに違いない。
自然の造形というものは、
人間の技とは比べ物にならないほど精緻で豊かな完璧さを見せる。
そんなことにいちいち驚いているけれど、
以前はこんなに心を奪われることはなかった。
今はそれらの模様に愛おしささえ感じてしまう。
モノを見る目が以前より深くなったのか、暇がありすぎるのか。
きっと私が年を取ったからだろう。
年を取ると持ち時間を考えてしまうから、
そのため時の速さにうろたえいちい切り口さえ気になるのだ。
それにしても自然の造物主とは何なのか?
今話題のAIはこれらのことを説明できるのだろうか。