甘エビのお刺身を食べたので、そのまま生ごみにするには忍びなく、
その殻でスープの出しを取ることにした。
子供の頃は港町に育ったからこうした魚介類などのだし汁が、
麺のつゆによく使われていたことを懐かしく思い出す。
貧乏なわが家だけだったのかもしれないけれど、
そうしたことから命を余すことなく食べることを教わった。
殻はカリっと焦げ目がつくほど魚焼き器で焼き、
試しに朝に残ったアジの干物の頭も入れて煮だしてみた。
アジを入れるのは初体験で生臭いかと思い生姜やネギを加えた。
グラグラと煮立ったらザルに入れて殻を捨てる。
漉し汁は少し色がついていて、心なしか海の香りがする。
ザルに残った殻や味の骨は庭のコンポスト行きとなり、
いつかは土と混じりごみは一つも出ない。
それに薄口しょうゆを加えると品の良い澄まし汁になった。
裏庭の三つ葉を積んできて、
沸き立つスープにほぐした卵を加える。
これこそ今盛んに言われている持続可能な暮らしではないかと、
我ながらほくそえんでしまう。
手間はかかるけれど心は満足だ。
世の中の人たち全てがこんなふうにしたらゴミは減るし、
エネルギーの節約になるだろう。