暮れとだというのに家の大掃除はほとんどやっていない。
手を付けたのはガスレンジのファンの油落としと、
しみのように汚れた外壁の洗浄ぐらいだ。
この二つはかなり決意のいる作業で、
年に1、2度はやっておかないと汚れは取れなくなってしまう。
だから仕方なくやっている感じだ。
ガスレンジの換気扇は以前と違い、
お店に売っているレンジフードフィルターという白い不燃紙を、
2月に1回ほど取り替えながら油汚れを防止しているのでずいぶん楽になった。
前はプロペラ状の羽にべとべとしつこい油が付着していて本当に大変だった。
換気扇の掃除はどこの家庭でもしなければならないことだけれど、
外壁の緑色の苔のような汚れは我が家独特のものだ。
苔や藻はモダンな家の構造から来る欠点で、
屋根の庇(ひさし)がないため雨水が付きやすくて発生するらしい。
日当たりの良い南側の壁には一つもない。
濡れてもすぐに乾燥するからだ。
苔は太陽が比較的当たる西側の壁ニも庭木の影の部分だけに増殖している。
庭木が風の通りを邪魔しているのだ。
庇のある他の家々はほとんど被害がないから、
この家の設計の致命的欠陥だと思う。
外壁はかなりの高さで面積も広いので、
デッキブラシを買ってきて汚れを落とした。
ゴシゴシと白壁をこすり、バケツの水を少しづつ柄杓でかける。
すると、深緑色の汚れた水がだらりと垂れてくる。
洗車用の庭のホースを使うには短すぎて届かないのだった。
深緑の汚れた水は土のような無機物ではなく自然から発生した生き物だ。
人はこうしたものと戦いながらここまで来たのだけれど、
この藻が完全にこの世界から姿を消すことは考えられない。
ふとウイルスのことを思ってしまった。
デッキブラシで届かない2階の部分はまだら模様がかなり残っている。
でも、やらないよりましだと思うことにしよう。
さて、次は浴室を磨かなければ。
それが終わったらベランダ掃除だ。
全く暮れは忙しい。