袋栽培をしているトマトが、
7月の長雨でかなり実が落ちてしまったけれど、
8月になってから持ち直し、毎日数えきれないほど赤く熟し、
トマトソースにしたり冷凍したりした。
半分は割れて落ちてしまうのに、
5枚の米袋や肥料袋でこんなにもなるものかと驚くほどだった。
そのトマトもそろそろ片づける時期になり、
少しずつ枯れた葉などを始末している。
すると、先日、枝に大きな青虫が張り付いているのに気づいた。
人の指ほどもある太さで長さは7センチぐらいだった。
思わず飛び上がるほど身を引いたけれど、
よく観察すると全体に黄色と空色の鮮やかな筋模様が規則的にあり、
不気味な繊毛もなく多少は正視できた。
こちらに頭をもたげている様子に何となくひょうきんさがあった。
もちろん近づくことはできなかったけれど、
いつものように逃げ出すことはなかった。
この大きな青虫は最近よくアゲハ蝶が百日草の周りを飛んでいるので、
きっとアゲハの幼虫に違いないと思った。
そこで、ネットでアゲハのことを調べてみたら、
小学校では飼育箱の中で成虫になり羽ばたくまで観察する授業もあるようだ。
虫が大の苦手な私、さすがにそんなことしたくない。
でも、珍しいので写真だけは撮っておくことにした。
ところが、この青虫は残念ながらアゲハチョウではなかった。
アゲハチョウはミカンの葉につくと小学生が教えてくれたのだった。
再びネットで「トマトを食べる青虫」と入力し、よくよく調べてみると、
確かにアゲハはいなかった。
どうやら虫が好む餌とは各々異なるようだ。
庭のトマトにいたのは、
何と恐ろし気な形態をしたガンメン何とかという蛾の青虫だったのである。
毒はないけれど、その人間の顔に似た黒い成虫の姿にはかなり恐怖感を感じる。
幼虫と成虫ではなぜもこんなに違うのだろうと思うほどの差だ。
それにしても、人間という生き物はひどく美醜にこだわる性質を持っている。
本能なのだろうか。
本当かどうか試したことはないが、
生まれたての赤子も何の経験もないはずなのに、
美しい人には微笑み返し、醜い人に対しては泣くという説もある。
ガンメン何とかという蛾を恐がる私、残念ながら仕方ない。
たとえその虫がこの自然に対して何らかの役割(ミッション)があったとしても、
さすがに飼育箱に入れて愛でることはできない。