去年の秋、種を早くに蒔きすぎたえんどう豆、
素人の私にしてはいつになく丁寧に棒を立て、
百円ショップで買った白い防寒シートまで被せて育てていたのに、
残念ながら木枯らしのひと吹きで無残に倒れてしまっていた。
倒れないようにがんじがらめに組み立てていたし、
撤去して立て直すのも大変そうでそのままにしていたら、
いつの間にか防寒シートの中でスイトピーのような可愛い花が咲いていた。
赤紫とピンクの混じった花、
こんなに可愛いのなら食料でなくても観賞用として十分だ。
だから、収穫はてっきり諦めていたのだけれど、
このところの暖かさのせいなのか、花が緑色の鞘に変わっていた。
数えながら切り取ると一回分のおかずの色どりにはなりそうだ。
触るとピンとして分厚く初物としては上出来だった。
さやいんげんはつる性なので、
倒れた場合は収穫は無理だと思っていた。
でも、こうして鞘になっているのだから、
いつかはグリーンピースに育つかもしれない。
何より少しでも実ってくれればお弁当にも利用できるし、
その鮮やかな緑の春色には他の野菜よりも感動を覚える。
植物は健気で人を裏切ることはないように思う。
とはいえ、このいんげんは私のために咲いて実ったのではなく、
嵐で倒れても大地からの栄養を吸収し続けてきたのだろう。
強いなあ、植物って。
小さいながらも菜園を作って良かったと思うのはこんな時だ。
そろそろ夏野菜の準備もしなければと思っている。