日本は狭いと言っても西から東へと縦に長いので、
様々な文化が違いとても面白い。
どこの国もそうなのかは知らないけれど、
西と東の境目あたりから食べ物の味付けなどもかなり異なる。
例えばおうどんなどの汁は関東では醤油の濃い色だけれど、
関西から向こうは透き通った汁がほとんどだ。
私は濃い色の関東風の汁はほとんど椀に残してしまう。
西の方は薄いせいか汁を飲む人も多く、私もそうである。
お正月のお餅も西は丸いけれど、こちらでは四角く切った切り餅で、
西の出身の私は馴染むのに何年もかかった。
丸は縁起が良いと教えられて育ったから、
縁起を担ぐお正月にそぐわないという気持ちが強かったからである。
先日、帰省の旅先で懐かしい餅つき光景に出会った。
丸められた餅をしっかりと見てきた。
街中の路地に10人ほどの中年男女とその子供たちが集まり、
正月用のお餅をついているのである。
地域社会が崩れてしまった今時にとても珍しい光景だったので、
しばらく眺めてしまった。
駐車場らしき空き地には昔のままの蒸し器や杵などが置いてある。
つきたての餅は板の上で小さく丸められ、並んでいる。
きっと大きな鏡餅も順番に丸め、みんなで持ち帰るのだろう。
共同でやる餅つきは流れ作業でできるし、人々との交流も深くなる。
おそらくこうした近所でやる餅つき行事は、
ほとんど世間の習わしから消えてしまっている。
それにしても、この人たちはそもそも近所の集まりなのだろうか?
もしかしたらママ友やパパ友の発案でやっているのかもしれない。
この人たちがどんな関係なのか知りたかったけれど、
何となく質問するのが躊躇われた。
でも、お餅を丸餅にしているのを見て嬉しくなった。