牡蠣小屋体験の後、強く勧められてとある観光地を訪れた。
そこは日本三大稲荷と言われる大きな神社で、
奥の院まで上がっていく間に由緒ある建築物があった。
日本三大と呼ばれるように確かに規模も大きく、
東照宮に似た華やかな本殿は圧巻だったし、
古びれた石段に続く赤い鳥居をくぐり、
奥の院の山上から見下ろす景色も大いに満足のいくものだった。
階段を上りながら、人間、特にこの日本においては、
数字でその良さを現すのが多いことを今更ながら感じた。
人は数値的表現をとても好む存在なのだ。
本を売るために出版社と協力して山を選んだもので、
今や登山者のバイブル的存在となっている。
ひねくれ者の私でさえ、時折50座しか登ってないと嘆くことがある。
何も知らず訪れた城が日本百名城になっていたり、
予備知識なく歩いた山が3百名山だったり、
ふと覗いた滝が日本百名瀑だったりと、こうして数値的に表されると、
何やらより以上得した気分になるのはどうしてだろう。
美術館巡りの好きな私がルーブルとプラド、
それにエルミタージュが世界三大美術館ということを知ったのは、
コロナの年、プラド美術館を訪れた時だった。
誰が決めたのか知らないが、
なぜかこの時は三大という言葉にこだわってしまい、
次に行くのはエルミタージュ美術館だと決めていた。
ところが、ロシアは悪魔の住む国となった。
どんなことがあっても絶対に行くものか。
今はそう思っている。
数字に迷わされるのはよそう。
でも、ここは確かに三大稲荷だ、勧められて来てよかったと思う。