生まれて初めて牡蠣小屋体験をした。
牡蠣小屋では店頭で殻付きの生牡蠣を買って、
そこにある囲炉裏のような場所で焼いて食べることができる。
そのあたりは海沿いの道に牡蠣小屋が立ち並び、
牡蠣小屋街道とも呼ばれているようだった。
道の駅もたくさんの炉が並ぶ牡蠣小屋だったので驚いた。
店頭には笊に入った牡蠣が産地別に並び、
牡蠣のほかにも海老や貝などもあり、
おむすびや飲み物なども売られていた。
囲炉裏に炊く炭代が300円、生牡蠣は1キロ千円ととても安い。
店員さんが火を起こしてくれるが、
バーベキューのように自分たちで牡蠣を焼いて食べることになっている。
牡蠣は汁や殻が撥ねるので、客は大きなエプロンをしなければならない。
手には厚手の軍手をし、挟めるトングはかなり長かった。
隣の席では漁師のような雰囲気の男たちが、
昼間から忘年会なのだろうか、缶ビールを何本も飲んでいた。
私たちはアルコールなしのビールで乾杯し、
次々と蓋を開ける生牡蠣を堪能した。
何て贅沢なのだろう。
生牡蠣と言えば、
以前、町の寿司屋で生け簀に入ったそれを食べたことがあった。
その日の真夜中、どのぐらい時間が経った頃かは忘れたけれど、
猛烈な嘔吐に苦しめられたことがあった。
それ以来、私は何年も大好きな生牡蠣を口にすることができなくなった。
パリを訪れた時、冬の風物詩である生牡蠣屋の露店を横目で見つめ、
悔しい思いをしたことを思い出す。
あちらは開けてもらった牡蠣にはケチャップをつけて食べるが、
私はダイダイの酢が好物だ。
この日は何もつけず牡蠣を食べ続けた。
たまには生焼きも食べたけれど、私の食あたりもう解禁されている。
きっと大丈夫なはずだ。