山を歩いていると、珍しい生き物や植物を見つける。
今回は幾つかのピークを越えた先で出会った、
緑色の鮮やかな幼虫がとても印象的だった。
幼虫はぶくぶくと太ってふわふわとした感じだった。
「おやっ?」と思ったらいつでも写真に撮っておくので、
帰宅してから名を同定するのが楽しみだ。
植物の場合は写真以外にも実なども採って持ち帰ったりする。
青虫の写真を撮った時、山で調達した杖を置き忘れたので、
仲間を待たせてこの生き物のところにひとり戻ったら、
カメラを抱えた時はじっとして動かなかった青虫が、
枝の上を数センチ移動して格好を変えていた。
立ち止まって観察したら、再びフリーズしたように固まってしまった。
青虫に目や耳があるのかは知らないけれど、
確実に自分を見ている他者の存在が分かっているようだった。
緑色の青虫はどうやら蛾の一種でヤママユというものらしい。
マユというぐらいだから糸を引くのだろうか。
いずれにしても静寂が支配する森の中で生を受け、
次の世代へと受け継がれていくのだろう。
この山の自然には地中や木々のあちこちに、
数えられないほどの幾多の生き物が命を謳歌している。
彼らにとって自然がなくなれば、もう生きながらえることはできない。
そう思うと、
ビルだらけの大都会でも生きていられる人間って、
どういう生き物なのだろう。
不思議でならない。