ホテル敷地?に到着すると明るいうちに地面を整地しテントを張り、
寝具などを入れ終わると、まずは下界から運んだ冷たいビールで乾杯。
緑の森で飲むビールの美味しさは格別で、
ビヤガーデンしか知らない下界の人が気の毒に感じるほど。
ましてや寝床がすぐそばに用意されていて、
ここは天国に違いないと思うほどだ。
ヘタレな私はワイン少々とアルコール度数の強いリキュール、
持ってくるのはそれが精いっぱいだった。
ところが、二人は合わせて5本もの缶ビールを背負ってきた。
そのほか食料や水も2リットルづつは運んでいるから相当きつかっただろう。
お酒の肴はそれぞれが持ち寄ったチーズやかまぼこなど数種ある。
メインには具のたくさん入ったお好み焼きを、
小さなフライパンで何回も焼いてくれ、その度に舌鼓を打った。
山のビヤガーデンでは政治から音楽まで、
多方面にわたる話題が飛び交いかなり盛り上がった。
私たちはどこか考え方や嗜好が似ていて、
時間が経つのも忘れてしまうほどだ。
山の夜は月や星が格別にきれいだけれど、
この日はずっと曇っていて空は見えなかった。
おかげで灼熱の太陽は照り付けず、
ここまで気持ちよく登ってくることができたからじゅうぶんである。
急ぐ山旅ではないので、朝はのんびりとコーヒーを飲み、
朝食とお昼の用意をする。
仲間がメスティンに入れてくれた朝食はリゾットで、
お昼はロールパンのサンドイッチだった。
昨夜は狭いテントの中で三人が頭を交互にして寝たので、
身体が身動き取れずきつかったけれど、朝まで眠ることができた。
いつもならヘッドランプをつけてトイレを探す私なのに、
早めに飲んだ安定剤が効いたようだ
さて、今日は地図にない尾根の縦走だ。
下山したらバスを待ち、行きとは異なる駅から帰路に着く。
こんなことができるのは電車での山旅だからだ。
車で来ないで良かったとつくづく思う。
何より私を誘ってくれた二人に感謝だ。