ヤマモモの実には結構大きな種が入っている。
ネットで調べてみたら、ジャムにするにはその種を手でつぶすようにして、
ひとつひとつ丁寧に種を取り除かなければならない。
以前は杏子の実を取り除く時、同じような方法でやったけれど、
公園で拾って来た小さなヤマモモの実となると何倍も面倒くさい。
だから、お酒に漬けて色を楽しむことにした。
甘いものが嫌いな私は、ジャムを作ったとしても人に上げるだけだし、
お酒なら少しは役に立つし、何を置いても色を楽しむことができる。
故郷の兄も美しい色のお酒を作っているというので、
ジャム作りはあっさり諦めることにした。
果実酒を作るのは数年ぶり。
ちょうど適当なガラス瓶があったのでその中にヤマモモの実を入れて、
35度のホワイトリカーと少しだけ氷砂糖を加えた。
まだ色が染みなくても、底に沈む赤い色には惚れ惚れとしてしまう。
どうしてこんなに綺麗な緋色が自然の中から生まれるのだろう。
もちろん自然だからこその色なのだが。
キッチンに飾り、しばらく眺めた後、床下収納庫に入れた。
何年後かの忘れた頃、
きっとヤマモモの実のお酒は真っ赤な色をしてグラスに注がれ、
時の封印を解かれるだろう。
その頃、世界はどうなっているのか。
ウクライナの悲劇は終わっているだろうか。