夕暮れの空がまだキラキラと明るい頃、
その薄暮の様子を見つめていると、
悠久の時の流れが深く目に染みてくる。
心ではなく眼を通して確かな時の移ろいを感じるのだ。
そんなひと時、グラスにビールを注ぐと、
今日という日の終わりの始まりを実感する。
家の中から外を眺め、夏野菜の様子を確かめながら、
冷たいビールを喉に流し込む至福のひと時。
普段はビールとはいっても実は低価格の発泡酒か雑穀種で、
まことのビールを私が口にするのは週末と特別な日だけ。
それでも琥珀色したグラスにつく水滴は本物のそれと変わらない。
時々、日常から離れ、少々特別な舶来ビールを飲む時もある。
本場のベルギー産やドイツのものなど。
それらを口にする時はもっと夕暮れが意義あるひと時となり、
格段に違うその味に感動したりする。
人は日常から非日常へ跳ぶ場合、
何かしら特殊な喜びに浸ることができるのだろう。
人間にとって連綿と繰り返される日常こそが真実だけど、
ちょっとした非日常への試みは欠かせない。
ビールという飲み物一つにしても言えることだ。
さて、今日も安物の雑穀酒でいこう。
そうでないと非日常が味わえなくなるではないか。
贅沢の喜びも分からなくなるではないか。