ここのところ金魚の水槽を覗くと、何となく違和感を覚えていた。
3匹が2匹になったとかそんなことではなくて、
3匹の泳ぐ光景がちょっと今までとは違うのである。
じっと観察していたら、その原因が分かった。
体全体黒かった金魚が全体に色が薄くなり、しかも赤みを帯びているのだった。
そのために何となく変な感じがしたのだ。
色の変わったクロはほかに何か異常があるかもしれないので、
一尾だけ柄杓で捕まえ、別の水槽に入れてみた。
私はよくそうするので、ひとりぼっちになった金魚の行動を知っている。
別にした金魚はしばらくは水槽内を暴れるように泳ぎ回る。
半日ほど経つと環境の変化に慣れてしまうのか、
気持ちよさそうに静寂の中をスイスイと泳ぎ、餌も欲しがる。
色の変わったクロは今までと同じで別に何の病的変化はなかった。
ただ鼻の頭の色が黒く残っていてコメディアンのように見える。
正面から見たらユーモアたっぷりで笑ってしまう。
ネットで調べてみたら、
金魚は色が薄くなったり変わったりすることがあるらしい。
専門家でもその原因は分からないと書いてあったけれど、
ストレスというものも色変わりに関係するらしい。
赤2、黒1の3匹の組み合わせで、赤2は雄と雌でクロは雄である。
雌を得るために赤とクロはよく競っていた。
雄赤は体も大きく、雌赤とお似合いのようにも見える。
もしかしたら、雄クロはそのせいでストレスを感じ、
自分の体色を赤に近づけようとしているのだろうか。
まさかそんなことはないだろう。
クロの色変わりはもともとのDNAかもしれない。
成魚になって変わるものだったのかもしれず、
金魚という生き物の世界も奥が深いではないか。