水槽で飼っているミナミヌマエビの抱卵に気づいてから早くもひと月以上が経った。
ネットで調べたらエビの稚エビの誕生の期間はおよそ4週間とあった。
我が家のミナミヌマエビはとっくに産み月?を過ぎているのに、
母親はお腹に黒い卵をたくさん抱えたままで、
必死に足をバタバタさせて卵に酸素を送っている。
そもそもミナミヌマエビの産卵時期は春や秋で、
冬はどうやら水槽のどこかで動かずにいて冬眠するらしい。
そのため餌もやる必要はないらしい。
それなのに、私は餌は何度も上げるし、
夕方になると水槽をダウンコートで覆って暖かくしてあげていた。
そうした行為のせいでエビが季節を間違えて抱卵してしまったのだ。
平均水温が20度ないと卵はかえらないと書いてある。
でも、せっかく抱卵したのだから赤ちゃんを見たい。
だから、過保護にしてきた。
水槽をじっと見ていると、もう1匹、抱卵した雌エビがいた。
嬉しいことにガラスのかけらのような小さな赤ちゃんエビも2匹確認できた。
どうやらこの中は自然に反して春爛漫の世界なのだ。
デジタルの料理用水温計で測ってみると、
寒い朝も15度ほどを保ち、
お日様に当たっている日中は20度を越えている。
これは野菜で言えば温室栽培と変わらないのかもしれない。
たまたま買ってきた金魚の水替えのために、
バケツに入っていたミナミヌマエビ、
我が家で育て始めてから半年近くなる。
今更、凍り付く野生の沼には戻せない。
生まれたばかりの小さな赤ちゃんエビを見ていると、
複雑な気持ちになる。
人間の欲求は果てしないなあと。