今日は山仲間と久しぶりに集まった。
私は出先から中央線の駅近くに車を置かせてもらい、
9人の仲間と駅からタクシーに乗った。
2台のタクシーで峠の登山口まで半時間ほど走った。
いつもの山旅なら登山口までマイカーで行くけれど、
今回は下山地がここではなく尾根を辿ったところだ。
静かで長い尾根らしい。
タクシーの値段1台8000円ほどで、2台ではその倍だ。
これを参加人数で割るからたいした額にはならない。
こうした登山は私のようなマイカー利用の者にはなかなかできず、
こんな時、仲間の有難さが身に染みる。
タクシーを降りると、背後にまだ頂上付近に雪をかぶった富士山が間近に見えた。
青い空の下に堂々と立つ富士山、何て美しいのだろう。
一同歓声を上げた。
ここから目指す山の頂上へはわずか1時間ほどだが、
久しぶりに会う仲間たちはおしゃべりに夢中で立ち止まることも多く、
時間が倍ほどかかった。
今日は尾根の途中で野営するから焦ることもなかった。
夏色の広葉樹の森に夏ゼミの声が響き、仲間たちの笑い声が絶えない。
皆、この雰囲気を味わいたくて集まって来たのだ。
競うように山の話をする数十年来の友人たち。
仲間の一人は新幹線でやってきて、今日は所用があるらしく、
てっぺんまで一緒に歩くだけで帰ってしまうと言う。
登山口で降りた時、ドライバーに予約も済ませている。
彼女はひとりでタクシーで帰るわけだから、大変な出費となる。
それでも、私たちに会うことができ、
かの地では見ることの出来ない富士山を見たから十分に幸せだという。
今夜、共に山の夜を過ごせたらどんなに良いかと残念だったけれど、
みんなで手を振って下山する彼女を見送った。