都会に住む友達を誘ってとある尾根を歩き通したのだけれど、
そのアップダウンの凄いことといったら、
あまりにもあり過ぎて辟易してしまった。
久しぶり何と10時間も歩いたことになる。
ネットでコースと標準タイムだけを簡単に調べてやってきた私、
まさかこんなにきついとは思わなかった。
上っては下り、下っては上りが間断なく連続すると、
おかげで景色を愛でる余裕もなかった。
俊足の友人を何度も待たせ、とても迷惑をかけたけれど、
彼女も記憶が混濁していたみたい。
それでもカレーうどんのランチ休みは40分ほどとった。
幸い始発のバスでやって来たので、
日没とスレスレに下山できて、帰りのバスに無事飛び乗った。
ピークを一つ残して時間を稼いだため、
最後のピークでは熱いコーヒーも飲めた。
もう少し出発が遅かったら山中で夜を迎えるところだった。
ライトは持っているけれど、暗い尾根道は危ない。
反省の多い山歩きだった。
朝のお巡りさんの声かけを思い出した。
実は、登山口のあるバス停でバスを降り、登山口の標識を探していた時、
停留所前の空き地に止まっていたパトカーからお巡りさんがやってきて、
「ここは結構遭難が多いんですよ。じゅうぶん気を付けるように」と、
注意されたのだった。
私が「こんな低山で道迷いですか?」と訊いたら、
「大した標高はない山なんですが、滑落もあるんですよ」と、
親切なお巡りさんは説明してくれた。
長く歩いていると足が疲れて転んだりしやすい。
もし、転んだら、そこが深い斜面になっていたら下まで落ちてしまう。
それが滑落だ。
この尾根道のアップダウンの多さが余計な疲労を増すのだろう。
バスの座席に腰を下ろすと、もうあの山道を歩くことはないと思った。
別れ際に友人は、雪が降ったら残したビークを歩こうと言ったけれど、
多分、弱虫の私はそのリベンジは駄目だろうと、今は思っている。