ニンジンや里芋など捨ててしまう野菜くずを、
お水を入れたお皿に浸しておくと、
しばらくすると新しい葉っぱが出てきて少しずつ大きくなり、
寒い冬など観葉植物の代わりにすることができる。
私は余ってしまい捨てられないお芋や里芋などを使い、
部屋のアクセントにして楽しんでいる。
新しく生まれた小さな緑の葉に植物の生きる力を感じる。
これはあくまでも観賞用だけれど、
再生栽培という趣味のような野菜作りがあって、
上手な人は食べられるまでに育てるらしい。
英語ではリボーンベジタブルと言う。
大分前に豆苗という見慣れない野菜を初めて買った時、
白いスポンジにびっしりとサヤインゲンの種が埋まっていた。
ちょうどその前に苗屋でインゲンを買ったばかりで、
その豆苗がまさにインゲンそのものの苗の集まりだということに驚いた。
苗屋のそれは一本100円といった世界なのに、
もやしのように育てられた豆苗は、
同じ100円でも密林のように苗がひしめいている。
そうだ、これをばらして育ててみよう。
そう思った私は豆苗を使った後、半分ほど庭の畑に移植することにした。
隣には苗屋で買ったインゲンの苗があり、それに並べて植えるのだ。
苗屋のインゲンはひと月ほどで花を咲かせ、
その後、瑞々しいサヤが食卓を彩った。
一方、豆苗の苗は待っても待っても花芽が出ず、
ただ狭い畑の畝を占領しているだけだった。
やはり、抜いてしまおうか。
ところが、先日のこと、青い蔓の先に紫色をした花が一つ咲いていた。
花が咲くまで二か月以上かかったことになる。
花の開花はとても嬉しかったけれど、
この一輪の他に花芽らしきものは見当たらなかった。
やはり、これは単なる遊びだ。
リボーンベジタブルで食を期待できない。
場所がないので明日抜いてしまおうか、
それともこの花がサヤインゲンになるまで我慢しようか。