コロナの緊急事態が解けたせいかどうかは分からないけれど、
秋の安達太良は家族連れやツアー客でごった返ししていて、
ゴンドラを待つのも一時間かかるという。
その列は隙間なく人が並びまさに密そのものだった。
私たちは一時間も待つのが嫌で、
ゴンドラは利用せず登山口から歩いて行くことにした。
もともと山というものは自分の足で歩くのが基本だから、
私はその方がかえって嬉しかった。
紅葉狩りとはいえ、ナナカマドがいちばん目立ち、
様々な色のあでやかな錦秋の景色とまではいかなかった。
おそらく今年の天候不順のせいで色づきが遅れているのかもしれない。
それでも人々の歓声があちこちから聞こえてくる。
コロナ疲れを吹き飛ばしたいのか、ハイカーの意気は上がっているようだ。
ステイホームの反動で壁のないアウトドア遊びが盛んになり、
老いも若きも登山スタイルをばっちりと決め込んでいた。
現に駐車場に止められた車のナンバーは遠く関西のものもあった。
1時間ほどしてゴンドラ駅のコースと合流すると、途端に人が多くなった。
その賑やかさといったらここは高尾山かと勘違いするほどだ。
静かな山ばかり選んで歩く私たちはただ驚くばかりだった。
上に行くほど道が狭くなるためすれ違いができず、
どちら側かが待たなければならない。
またツアーの人たちが多くにっちもさっちもいかない行列になった。
これでは途中で戻ろうとしても思うようにはならないだろう。
ようやく着いた山頂はそれまで青かった空がガス模様に変わり、
名物の強い風も吹いて、また人も多いので長居はできなかった。
私たちはそれぞれにお昼を食べてすぐに下山を開始した。
帰りはゴンドラコースではない道をとったら、
そこは人が全く通らず、まるで別世界だった。
往路にそのコースを取るべきだったのだ。
下山するとスキー場の敷地までが駐車場になって車が並んでいた。
臨時バスも次々とやって来た。
現地の友達もこんな人込みは初めて経験したという。
おそらく1万人近い人が来ていたのではないかと言う。
これが現実にコロナ開け?の現象だとしたら、どんなにいいかと思うのだが、
さて、どうなるだろう。