しばらく雨が続いて気温も低く長袖を着ている。
雨はずっと停滞して今がまだお盆が過ぎたばかりだと思えないほどだ。
真夏日は嫌だけれど、気候が変になってしまうのはもっと嫌だ。
庭に植えた野菜はほとんどこの長雨で腐ってしまった。
トマトは充分に取れたから良いけれど、
冬に食べるためのネギがどろどろにふやけ倒れている。
ネギは買わずに済んだのに今年はスーパーで調達することになるだろう。
古いレインコートを着て長靴を履き、
雨の合間に暑い盛りにできなかった草むしりをした。
畑の雑草の中で這うようにはびこっている名も知らない草は、
引っ張っても抜けないほど強い。
野菜が腐るのもこうした雑草のせいで風通しが悪く、
太陽も当たりにくいからだ。
勝手に毎年出てくるシソの葉も雑草化し、
もの凄い力で土に張り付いている。
倒れた幹からも無数の白い根が出ていてその生命力には参ってしまう。
これを引っ張って取り除くには腰を痛めるほどの力が要る。
暑くて外仕事ができず放っておいた豆は、
雨に濡れて柔らかくなって、
提灯のように枝にぶら下がったまま新芽を出している。
地面に落ちたインゲンからは双葉も出ている。
自然界とはこうして自分のコピーを生み出すことだけが目的で存在する。
ウイルスもきっとこんなに強く、
自分のDNAを後世に繋いでいるのではないだろうか。
ウイルスの無限大ほど体積のある人間も、
我が身をコピーするためにこの世に生まれてくるのだろうけれど、
残念ながらウイルスに負け、絶たれる命も増えている。
隣町ではかつてないほどの感染者が出ている。
友人の近くの人も感染し、もはや他人事ではなくなった。
庭の雑草のように強くなることはできないから、
もうなるようになるしかないのだろうか。