庭に出たら白いイチゴの花が6輪も開いていた。
桜も万回近いし、いよいよ本当の春がやって来たのだ。
これからはちょくちょく雑草を抜かなければ。
今年もたくさんジャムを作ろう。
雑草はあっという間に花を咲かせ種をつける。
そして、その種が瞬く間に土からコンクリから、
生存可能なあらゆるところから繁茂してくる。
雑草って強いなあ、私もこんなに強かったらいいのに。
実はお昼を食べてしばらくして、
明日は友人二人が遊びに来るので少し念入りな掃除にかかった。
お客は泊りではないので、掃除はリビングとトイレ、
洗面室などだからいつもより気が楽といえば楽だった。
ところが、突然左耳からキーンという音が響いて事態が一変した。
鼻水がひどく続いていたのがやっと治って、一安心という時に。
7秒ぐらいで止まったこの高音の耳鳴りは、
最近3回体験していて少し気になっていた矢先だった。
耳鳴りが収まると、数分して体に異変が起きた。
世界が私の認識する動きと異なるのである。
周りがスローモーションのように揺れ、宇宙遊泳をしているようだ。
動きというのはまさに時だということを感じた。
横になって安静を保つが恐る恐る頭を動かすと、
体がふあふあと浮いているようになった。
きっと脳の血管がやられたのかもしれない。
携帯電話を取るために床を這って移動しやっと手に取ると、
不安で手が震え、パスワードに手こずった。
3回目で119と繋がった。
生まれて初めて自らの意思で救急車を呼ぶ。
私はもう終わりなのだろうか?
普通の暮らしができないのだろうか?
我が家に響くサイレンの音を待つ間、
深い衝撃に打ちのめされていた。
15分ほどだったろうか?
3人の若者が掃き出し窓から入って来た。