今日やっと忘れ物を受け取りに行くことができた。
もう預かってもらってから二週間前も経っている。
私が何度も頭を下げると、係の人はにこやかに、
「届けてもらって良かったですね」と言ってくれとても感謝した。
せっかくここまで来たのである、今日は少し公園を散歩する予定だった。
忘れ物の受け渡しを終え、外に出ると、雨が落ちてきそうな空模様だった。
傘の心配をしていたら、「玄関の傘をどうぞ」と先ほどの女性が言った。
どうやら訪問客が忘れて行って、
そろそろ廃棄処分の時期になったらしい。
だから、わざわざここまで戻って返さなくていいと言うのである。
幸い雨は小雨がほんのちょっと降っただけで、
お借りした傘は杖の役をしてくれた。
散歩の途中で忘れ物を届けてくれた方にお礼の電話を入れると、
その人はとても喜んでくれて、
散歩のコースまでアドバイスして頂いた。
本当に親切な人である。
その人に電話で教わった道をどんどん登って行ったら、
1時間ほどした頃、岩壁から下って来る女性がいて、
話を聞くとその女性はここで親切な人と出会い、
ずっと励まされながら一緒に歩いてきたと言う。
とても一人じゃ歩けなかったと喜んでいた。
なぜだろう、ここには親切な人ばかりがいるのである。
バス停まで1時間歩いて、さらにバスを1時間待って都会に帰るという女性を、
私は駅まで乗せて上げることにした。
情けは人のためならずである。